「H・K」(2005年)


 笠原さんのCDを発売日に買うのは、
「MADRIGAL」(1994年)以来、実に11年ぶりです。


まあ「MADRIGAL」の頃は、もうほとんどファンを止めていて、
惰性で買っていましたので(ゴメンナサイ!)、
ファンとしてこんなに楽しみにして新譜の発売を迎えるのは、
「メモリーズ」(1992年)以来、13年振りということになります。
なんだか非常に幸せを感じてしまいます・・・。


 ちなみにこのブログのタイトル「HKファンの独り言」は、
このアルバムのタイトル決定以前(まだ「Starting over」と発表されていた頃)に
付けましたので、HKが入っているのはまったくの偶然です。念のため…。


 それでは、いよいよ封を開けてみましょう!


ジャケットの写真は、可愛くカッコイイ感じでデザインもなかなか良いです。
対して帯と裏ジャケはちょっとシンプル過ぎるかも。
ライナーノーツの中は全部白黒で、笠原さんの写真は無し。
このあたりは、ミニアルバムですし、予算の関係とかあるのでしょうかね。。。


おや?アーティストマネージャーは柳沢さんになっているのですね。
ずっと西村先生の名を見慣れていたのでなんだか新鮮です(笑)


 では、曲を聴いていってみましょうか!!


1.「I will be there」
 ・・・いきなり降参・・・!すごい!いいです!!
「僕」を主人公にした歌詞ですね。メロディも明るく希望に満ちていて、
歌声も笠原さんらしく澄んだ美しいものです。しかし歌い方が力強く、
そのあたりが昔の印象と少し違っていて、それもまた良いです。
英語の部分の歌い方も、良し!


実は正直、ワクワクと同じくらい、かなり不安もあったんですよ。


 私がリアルタイムに知っていた十数年前の笠原さんは、
とても魅力的な実力のある歌い手でした。それはよく知っていますから、断言できます。
しかし十数年振りにファンに復帰してからやっと今で3ヶ月ほどで、
「今」の笠原弘子さんを私はまだよく把握できている自信がありません。


過去の空白期間のアルバムを着々と集めてはいますが、
しかし「aria」(1999年)はとても素晴らしかったのですが、
それ以降の最近のアルバムはまだほとんど集められておらず、
その中で唯一聴いたアルバム「Re*vuelta」(2003年)の評価は残念ながら微妙でした。


ここ数年、21世紀に入ってからの笠原弘子はいったい大丈夫なのか、、、
というあたりいろいろとネット上での評価を拾い読みするにつけても、
自分自身でまだ何も確認できていないだけに、少し不安を感じていたのです。


もう、私の知っていた笠原さんではなくなっているのでは?
私はただ、遅れて戻って来て、知らずに過去の栄光の影を追いかけているだけでは??


しかしこの歌は、見事にその不安を払拭してくれました!本当に素晴らしいです!!


2.「恋歌」
 ・・・ジャズっぽいような、いい感じの曲とアレンジですね!
広井王子が「今までの笠原弘子にないような歌詞を」と言ってましたが、
なるほど、かなり大人っぽい感じの詞になっています。
でも歌詞の評価としては、ちょっとその「大人っぽさ」を狙いすぎた感もあって、
まあまあといったところです。


 しかし曲とアレンジ、それに合わせた笠原さんのボーカルはかなり良いです。
うん、でも、歌詞もその雰囲気を引き立てる小道具として考えると、
これはかなり効果が出ていると思います!
こういう歌詞で英語がひとつも出て来ず、タイトルも漢字というのは、
ちょっと昔の歌謡曲っぽい雰囲気もありますね。


3.「I DREAM 〜ハート壊れそう」
 ・・・明るいミディアムPOPS、UPテンポなジャズ系ときて、次はLOVEバラード。
うまく曲を配してます。これはちょっと松田聖子あたりを意識した作風でしょうか?
しかし最高です、笠原さんの歌声は。この伸びある高音の、柔らかで優しい透明感・・・!
間奏のハミングの響きも美し過ぎます。まさに「クリスタルボイス」!


4.「My Best Friend」
 ・・・次はアップテンポのPOPSで来ましたよ。
明るい温かい曲ですね。これも好きです!
奇しくも昔のアニメ等の曲を集めたベストアルバムと似たタイトルですね。わざとかな?


5.「夏のリトグラフ2005」
 ・・・笠原さんの定番、失恋の歌です。
でも「遠い夏の休日」(1992年)のような爽やかな雰囲気に仕上がっています。
あの頃と同じいい雰囲気を持ったまま、それにちゃんと歌はずっと上手くなってますよ。
当たり前のことだけど、そうでなくては困るのだけど、
でも今の私としては、それが確認できてとても嬉しいです。


6.「ひこうき雲
 ・・・笠原さん、なかなか良い詞を書きますね!有沢七瀬さんも好きでしたが。
ひこうき雲」は「あまり口にしない」言葉とのことでしたが、
実は笠原さんの歌の歌詞ではけっこう出てきています。


「MEMORIESⅢ」(1997年)の「願い」
   …「見上げれば 空にひこうき雲/あざやかなほど」
Ever17」(2003年)の「Aqua Stripe」
   …「空を突き抜けてくように/ヒコウキ雲を描いて」


どちらも詩の中で印象強い個所で使われています。
人生を精一杯力強く進んでいくこと、そうして進んできた軌跡、
これからもそうして進み続けるという暗示、そういったものが込められている気がします。
爽やかに、まっすぐに、のびのびと、のようなイメージもありますね。


だから、ここで自作の歌詞の題材として、
笠原さんが「ひこうき雲」をチョイスしたのは何だか面白いなと思いました。
この歌詞の中での「ひこうき雲」は、直接的には「彼との思い出の風景」ですが、
転じて「ひこうき雲の彼方/広がる未来は」となっており、
やはり、これまで来た道とこれから進んでいく未来といった意味で、
「願い」や「Aqua Stripe」の「ひこうき雲」と重なっている気がするのです。


HK

HK