「胸のコンパス」(199?年)(その1)


この「胸のコンパス」はライブで歌うために作られた歌で、
CD化されているのは「Feel Happy Together 1999」(ライブ音源)と、
この「hiroko kasahara super best」(スタジオ収録)だけです。


「Feel Happy Together 1999」を聴いて、非常に気に入ったのですが、
何しろライブ音源ですから臨場感のある反面、音質が安定しておらず、
歌詞も少し違う・・・、ので、ぜひスタジオ録音版を聴いてみたいと、
ファンに復帰した頃からずっと思い続けていたのです。


その後、先日の「30周年記念コンサート」のラストで目の前で聴くことが出来、
感動に思わず涙ぐんでから、更にその思いを強くしていました。


やっぱりスタジオ録音版は聴きやすくて良いですね。
意外だったのは、もう少し柔らかい優しい音(ボーカルも演奏も)を
想像していたのですが、実際にはクリアでシャープな印象だったことです。
いわば、寒い冬の晴れた朝にすっくと立ち空を見上げる、、そんなイメージを感じました。


なるほど、これは詞の主人公である「私」の
「強い気持ち」「決意」の歌であるわけですから、
そう考えると柔らかい音よりも、このほうが似合いますね。
もうひとつ言うと、聴き手に語りかける歌ではなく、
自身の心の中を表現した歌で、歌詞の「雨上がりの朝」も「灰色の雲」も、
それはすべて心象風景なのですね。


面白いのは、この歌の中の「私」は、
今この歌を歌っている「笠原弘子」さんご本人のように感じられるところで、
これは実は、笠原さんの数多くの持ち歌の中でも、珍しいことだと思います。


つまり、この歌の主人公「私」は、「南風まろん」でも「茜ヶ崎空」でも、
「空に憧れる少年」でも「彼と別れて天球儀に涙する女の子」でもなく、
等身大の「笠原弘子」その人であり、つまりこれは自分自身が主人公の歌なのです。


※意味が判りにくかったので一部をいったん削除しました。
削除した「歌い手としての『笠原弘子』論」はまたいずれ別途まとめます。


(つづく)