「胸のコンパス」(199?年)(その2)


 困ったことに最近は、今まで結構詳しかったはずの
J-POP関連にかなり疎くなってしまっています。


笠原さんの歌にかなりハマっていて過去の膨大な歌たちを聴き込むのに忙しいこと、
引越しなどで生活環境が変わったり時間が取れなかったこと、いろいろ理由がありますが、
あまりバランスが悪いのはよくないだろうなあ、とちょっと反省。。。


・・・で、おかげでぜんぜん気が付いてなかったのですが、
槇原敬之の新曲、「ココロノコンパス」っていうタイトルだったんですか??
ま、まさかパクリ!?!?(<そんなわけはないですが(笑))
気になるなあ、、、どんなテーマのどんな歌なんだろう?チェックしておかないと!!
あ、そういえば、確か笠原さんもマッキー大好きだったんですよね!


               ☆☆☆


 さて前回、この「胸のコンパス」は、
笠原さんが今のご自身の気持ちもしくは決意を歌っておられるかのようだ、
ということを書きました。


歌詞をみても、「私」という一人称しか出てこず、
その「私」の未来への強い行動の意志を言い切る表現が多くみられます。


 「暗い部屋飛び出し / 深呼吸しよう / 今すぐ」
 「明日への / めじるしは / 自分で作れる」
 「大きな客船が / 起こしてく / 波に負けない」
 「これから何度でも / 眠れない夜は来るけれど / きっと忘れない」
 「失うものは / もう数えない」


「○○しない」という形が多用されているのも特徴的で、
どれも、過去を振り返らず未来へと進むという、強く清々しい決意を感じさせます。
そしてこの歌詞の清々しさや、健気さや優しさ、そして内に秘めた強い意志などは、
透明感溢れるメロディとあわせて、「笠原弘子さん」その人を強くイメージさせます。
そのため、笠原さん自身が、今の自らの気持ちを歌っているかのような、
そういった印象を受けるのでしょう。


もうひとつ重要なのは、そうして自分自身の決意を歌っていながら、
自分ひとりの中では完結せず、そうした「胸のコンパス」は「誰の心にも」あるんだよ、
と聴き手の心にも語りかけているところです。


それによってこの「「私」が「今」から目指す未来へ向かう強い意思」は、
「一番大切な」「今このとき」を共有する聴き手の心へも伝わるのでしょう。


最後は「進み続けたいの」「信じ続けたいの」という柔らかな願いで終わる訳ですが、
聴き手の心にある「胸のコンパス」も、この願いに揺らされて向かうべき方向を探して
動き始め、この曲は終わることになります。


・・・などと、2回にわたって所感を書き出してみたわけですが、
まあ、これだけの名曲に下手な感想を述べることが、そもそも間違いかもしれません。。


聴いているだけで、なんだか心が動かされる、、、
笠原さんのイメージ自体を主題にしたかのような見事な詞と、
それゆえ、真摯な心の独白を聞いているかのように胸を打つボーカル。
何も考えずにただ聴いているだけでも、充分なんですよね。


いづれにせよ、これは文句なく、
笠原さんの代表曲のひとつであり、名曲であると思います。


ちなみに私は、30周年記念コンサートで聴いたこの歌が一番、心に響きました。
2000年以降の混迷の時期を乗り切って、今に至った笠原さんが歌うこの歌は、
より強く心を揺さぶるような、そんな気がするのです。。。