「True Chair」(2001年) (その2)


 今週はこの「True Chair」をヘビーローテーションで聴き続けています。


一番よく耳に残ってしまうのは、意外にも「人生お好み食堂」。
ついつい頭の中で「お寿司とプリン 一緒に食べたい♪」とかサビの部分を歌ってしまい、
「いやいや、一緒には食べたくないよなあ・・・」とかひとりで突っ込む今日この頃です(笑)


この歌はノリがよくて楽しそうなのが良いですね。
普通の曲と思うと歌詞に違和感があったのですが、
「童謡」もしくは「みんなのうた」のように捉えて聴くとしっくりきました。
NHKの「みんなのうた」で、かわいいアニメーション付きで、
「人生お好み食堂」が流れていたら、まさにピッタリだと思いませんか?


「あの頃」もやはり初めの感想と変わらず、良い曲だと思います。
「同窓会のフォト」などと同系統になりますね。
ほんと、聴いていると自分の経験に照らし合わせたりしてしまい、胸が切なくなります。


「白いソファー」も、サビのメロディなんてよく耳に残って良い感じです。
「忘れないように」もいいバラードだと思います。


そういうわけで、全体的に、このアルバムには満足しているのですが、
しかし、ちょっと疑問に思ったことがあります。


もしもまだ笠原さんのファンに戻ってくる前の自分が聴いたなら、
このアルバムをどう評価したかな?・・・と。


たぶんですね、評価はそんなに高くなかったと思うのですよ。


考えてみれば、誰かに笠原さんの歌を聴いてもらいたいと思ったとき、
まずこの「True Chair」を勧めるということは、無いような気がするのです。
「MEMORIES」「MADRIGAL」「aria」「H・K」あたりから聴いてもらうはずです。


つまり、このアルバムでは笠原さんの歌の世界の魅力を充分には表現できていない、と。
この「True Chair」は、既にもう笠原さんのファンである人のためだけの、
アルバムになってしまっている。極端に言い切ってしまえば「ファン・アイテム」の
ようなものではないかと、そう感じるのです。
これは「piece of heart」や「レ*ブエルタ」のときにも、
多かれ少なかれ思っていたことなのです。。。


まず「笠原弘子」というキャラクターがあって、
それを下敷きにして、そのうえに成立するアルバム、、、
そういう構造では、ファン以外にはなかなか受け入れられないでしょうし、
そういったアルバムばかりが長く続けば、ファンの中にも不満が出てくるのは
当然という気がします。


私は「笠原弘子」という固定化された単色の世界は、無いと考えていますが、
でも確実に彼女だけが表現できる楽曲の「世界(感)」というのは存在します。
それは、その時々、提供された楽曲によって形も色も変わるのですけど、
でも確かに笠原弘子さんだけが表現できる世界なのです。
聴いていて、その世界を感じられるほど、笠原さんの魅力を引き出せている楽曲かどうか。
歌手としての彼女の魅力に向き合い、それを表現するべく練り上げられた作品であるか。


やはり歌手としての笠原さんに期待をして作品を待っているのですから、
そういった楽曲のクオリティなどアルバム単体としての完成度の高さで応えて貰わなければ!


そういう意味で、「H・K」はここしばらくの流れを打ち破る、
画期的なアルバムであったと思います。
私の中では「aria」以降で久々の、他人にも安心して勧められるアルバム、ですから。


まあ、去年の夏から半年間で、一気に過去十数年の歴史を振り返ってきた私の、
非常にインスタントな感想ですので、これからいくらでも考えが変わる余地は
あるのですが・・・(笑)


突然こんなことを考えたのにはワケがありまして、、、
じつはいま、私の手元に「Holy Chain〜聖なる鎖」があります。未開封です。
笠原さんのオリジナルアルバムはほぼ手元に揃ってきたのですが、
この「Holy Chain」だけは楽しみにして、最後まで取っておいたのでした!
それをとうとう、聴く日がやって来ました。。。


おそらく、この「Holy Chain」はファン以外の人にも聴かせたくなるような、
素晴らしい音楽を聞かせてくれるものと期待しているのです。


笠原さんのファンだからこのCDを聴く。というのではなく、
こんな素晴らしいCDを聴かせてくれるような歌手だから、そんな笠原さんのファンなんだ、
といえるように、ありたいと思うのです。


今までもそんな風に言える、素晴らしいCDは何枚もありますが、
この「Holy Chain」が、そしてこれから発売されるアルバム達が、
きっとそのようなものでありますようにと、願います・・・。


さて、では、週末にでも「Holy Chain」、聴いてみたいと思っています!