「メモリーズ3〜EXTRA〜」(1997年)


笠原弘子さんの3枚目のベストアルバムです。


これも比較的最近(数週間前)に初めて聴いたばかりです。
初聴の印象の残っているうちに、感想など書いておこうと思います。


私はほとんどの曲は聴くのが初めてでしたが、
「これはまさにベストアルバム!素晴らしい!!」と感じました。


では順番に印象に残った曲を見ていきましょう。


(DISC 1)
 DISC1は、やはり各アルバムからの寄り抜きですから、
1枚の作品(アルバム)としての統一感は、ありません。
 しかしそれが問題にならないほど、1曲1曲が良曲揃いなのです。


1.「そっと夜に泣こう」
 ・・・まずタイトルのセンスが良いですね。
 「そっと」「夜に」「泣こう」。
 これだけでもう情景が目の前に浮かんでくるようです。
 そっと夜に泣いて、そして素直になって、
 「明日には生まれ変われるね」と、優しく歌っています。


2.「アヤシイ」
 ・・・この曲、各所で賛否両論のようですが、私は好きです。
 何だかクセになって何度も聴きたくなります。
 バックのブラスのアレンジも良いですね。
 歌い方が独特ですがこういうウィスパーボイスも可愛くていいです。
 まあ、全部の歌がこうだとちょっと困ってしまいますが、
 バリエーションとしては良いのではないでしょうか。


3.「DECEMBER」
 ・・・「笠原弘子」さんの作詞。
 ペンネーム「有沢七瀬」は止めてしまったようです。
 楽しい気分になれる歌ですね。なかなか良いです。


4.「本当の私に逢いたくて」
 ・・・最高です! くじけそうな毎日だけど
 「本当の私に逢いたくて/もう一度歩き始めよう」と、
 心を優しく励ましてくれる歌詞、その歌詞を引き立てて
 希望を感じさせる明るいメロディ、そしてそれを表現する笠原さんの
 キュートな歌声が融合して、見事にこの曲を完成させています。


6.「天球儀の涙」
7.「YOU&ME」
 ・・・弦楽器のアレンジが良いです。原曲とはまるで違う歌のようで
 また別の魅力が出てます。「Tea For Me'95」でも思いましたが、
 光宗信吉さんって本当に良い仕事すると思います。
 この二子玉川のライブは他に音源化されていないようですが、
 ぜひ他の曲も聴いてみたいものです。


8.「夢上の楼閣'95」
 ・・・昔の名曲がこういう形で復活するのは嬉しいものです。
 ジャンルとしてはラブソングなのでしょうけど、
 1番の歌詞では「ミサイル」「戒厳令」「シェルター」、
 2番の歌詞では「数億年」「弥勒」と日常とは隔絶した硬い単語と、
 「粉雪」「絹雨」といった日常の美しい単語を散りばめて、
 それを「夢の上の楼閣」という舞台で括って詞の世界をまとめます。
 山本正之って今聴くと改めて、言葉の才能のある人ですね。
 そしてどこか浮遊感のあるメロディと、
 笠原さんの透明感のある歌声が、詞の世界を広げてくれます。
 いま聴いてもやはり良いです!


10.「空へ・・・」
 ・・・良い歌です。
 笠原さんの歌声の高音の美しさを極限まで引き出してます。
 この曲については詳しくはいづれ改めて。


11.「きみをわすれない」
 ・・・単独曲としてはシンプル過ぎる気がしますが、
 アルバムの締めとして聴くと、逆にそのシンプルさが良いですね。


(DISC 2)
 DISC2は、曲の印象も統一感があって、さながらミニアルバム。
 「Feel Happy Together 1999」で先に聞いて感動した曲が
 多いだけに、現在かなりのお気に入りDISCです。


1.「約束」
 ・・・笠原さんの歌には、御本人も言ってましたが、
 失恋の歌が多いですね。ただ、その内容は「ヒロイン」や
 「天球儀の涙」のような、恋が終わった悲しみが中心のものと、
 「YOU&ME」や「遠い夏の休日」のように、別れてしまったけど
 でも頑張っていくよ!みたい明るいものとに大別されると思います。
 この「約束」は、後者の明るい方の失恋の歌ですね。
 爽やかで心地よい歌です。


3.「願い」
 ・・・「好きよ後ろ姿/思わず手を振った」。
 囁くようなこの歌いだしだけで、
 いきなりグっと歌に引き込まれてしまいます。
 ここから盛り上がるサビまで演奏はアコギ中心であくまで控えめ。
 もう笠原さんのボーカルの説得力だけで見事に聴かせてくれます。
 笠原さんの歌の表現力を堪能できる一曲だと思います。


4.「この風の中で」
 ・・・静かながら力強い曲。1番が静かに始まって
 サビに向けて盛り上がりそのまま2番へ続いてく感じが良いです。
 晴れた空、港町、夕暮れ、海辺、水平線と船。
 MYUさんの詞は、具体的な風景があってそれに気持ちを重ねてく
 表現が上手いです。この歌でもそれが秀逸で、歌のままに場面を
 イメージして想像を働かせるだけでゆったりした
 幸せな気持ちになれます。

 「ゆっくりと散歩する/大きな犬を連れた老人」

 特に好きなのはこの歌詞です。
 なんて微笑ましいのんびりとした光景でしょうか。
 笠原さんが包み込むような優しい声で、ここを歌っているのを
 聴くだけでも幸せな気分になります(笑)


 5.「こわれた時計」
 ・・・短いながらもなかなか名曲。歌詞が短い分、
 メッセージがストレートに伝わってきます。 自分自身に
 語りかけているかのような笠原さんのボーカルも良いです。


それから、今回のジャケットと歌詞カードの写真、とても可愛いです。
動きのあるショットが多くて、どれもいい笑顔をしています。